マグナの夜会話選択前モノローグ

0話〜Brand-New Start〜
こうして俺は旅立つことになった・・・
事実上の追放にひとしい任務を受けたにも関わらず
俺はなぜか、取り乱したりしなかった
なぜか?
考えるまでもない
同じだからだ
あの日、強引にこの場所へ連れてこられ
召喚師になることを強制された時と、同じだからだ
だから、耐えられた
納得することができた
どうせ選択の余地はないのだから、と・・・


1話〜Explorers〜
騎士団に野党たちを引き渡し終える頃には、すっかり日は暮れてしまっていた
天空に輝く銀月の光の中 刻一刻とその形を変えながら燃えさかる焚き火の炎をみつめつつ
俺はあらためて、自分自身に思いをめぐらせてみる
俺はすねていたんだ 自分が孤独だと思いこんで子供みたいにヤケになってた
派閥に連れて来られる前 身よりも住む家もない俺は多くの人々に、ゴミのように見られていた
派閥に入っても同じだった 「成り上がり」の存在として陰で、あるいは公然と差別をされ続けてきた
だけど、思い出した それだけじゃないってことを
ネスや、ラウル師範たちがそう教えてくれたってことを
俺は孤独なんかじゃない 俺を信じて、見守ってくれる人たちのためにも・・・
しっかりとした意思をもってこの旅を続けていこう


2話〜Divine Girl〜
走って、走って、走り続けた
理不尽な怒りを
やりきれない気持ちを
必死に振り払うようにして
どこをどう走ったのか
追っ手の影を振り切ったと確信できた時には俺たちはもう、その場から動けぬほど疲労していた
襲撃者におびえながら初めて過ごす夜
闇の中に身をひそめながら俺は眠ることもできず
沈んでいく月をただ無言で見つめていた


3話〜Parting Road〜
止めることは出来なかった
去っていく彼の背中には
それをはっきりと拒むだけの決意があったから
道はひとつではない
幾重にも分岐し、複雑に絡み合うその中を迷いながら俺たちは進んでいかなくてはならない
それが本当に正しいのか
誰にも知ることは出来ない
それでも俺は信じたい
彼の選んだ道と俺たちの選んだ道がいつかどこかで再び重なり合うことを
たどり着くその先に望んだ結末があることを


4話〜Little Seeker〜
それにしても今日は本当にいろいろなことがあったと思う
知らない人とたくさん出会い
同時に、知っている人たちの知らなかった一面を見ることができた気がする
充実してるっていうのはこういうことかも知れない
中でもミニスとの出会いはオレに少なからず驚きを与えてくれた
泣き虫だけど一生懸命な小さな召喚師
そんな彼女のひたむきな姿はちょっとだけ俺の負けん気を刺激してくれたかも知れない
負けられないよな?
同じ、新米召喚師としてさ。


5話〜Black Chasers〜
よどんでいた混迷の霧が晴れていく
けれど・・・
その向こうに待っていたのは太陽ではなく
不吉な嵐の到来を告げる漆黒の雷雲だった
崖城都市デグレア
旧王国最大の軍事都市が差し向けてきた特務部隊「黒の旅団」
やっと知り得た敵の名はあまりにも巨大すぎて
恐怖よりも、不安よりも先に俺はただがくぜんとする
どれだけのことができるか?
してやれるのか?
考えるほどに非力な自分を必死に奮い立たせながら
俺は、俺が立ち向かうべき敵の姿を、しっかりと目に焼きつけていた


6話〜Under The Moonlight〜
どうにか逃げのびた俺たちがたどりついた場所は、潮風の吹き抜ける海辺だった
知らず知らず、俺たちは目的地とは反対の方向へと進んでいたらしい
だが、歩を返すだけの気力は今の俺たちに残ってなかった
砂浜に下りた俺たちは岩陰に隠れるようにして火をおこし、疲れた身体を休める
街の灯りを見つめながら
海運と交易の都市ファナン
それは奇しくも、俺とネスが最初に目指した街だった


7話〜Bouncer Attack!〜
結局、その日は出発どころじゃなくなってしまった
召喚術を使う海賊との戦い
金の派閥の議長にしてミニスのお母さんでもあるファミィさんとの出会い
またしてもいろんなことがいっぺんに起きたせいで疲れているはずなのになかなか眠れない
熱っぽい頭を冷やすために道場の屋根にあがってみると
海原の上に月があった
ゼラムとはまた違った輝きで
あの月が満ち欠けを繰り返し
めぐっていくように
俺もまた、旅の中で色々な人たちとめぐりあっていくことになるんだろう
潮騒の音を遠くに聞きながら
俺はなんとなくそんなことを考えていた


8話〜Outsider〜
レナードさんの弾丸に貫かれて
屍人使いの身体は砦の下へと墜落していった
彼の行為を責めることなど誰にもできなかった
ひと時とはいえ、彼はこの砦の一員だったのだから
気を失ったアメルを休ませる間
俺たちは動かなくなった人々を簡単に弔った
パッフェルさんは結局見つからなかった
そして、ガレアノの死体も
なにかが動き出している
そしてその渦に間違いなく俺たちは巻き込まれようとしている
言いしれぬ不安を胸に抱きながら
雨の中、俺たちはファナンへと引き返していく
まるでそうすることで
得体の知れないなにかから逃げようとするかのように


9話〜Lost Home〜
今までとり乱さなかったことのほうが、不思議だったのかもしれない
祖父の言葉を信じてやっとたどり着いた場所
そこにあるはずの村はなく
悪魔を封じたという禁忌の森が広がるばかり・・
アメルを襲った絶望感はどれほどのものだっただろう
間違いだと思いたかった
本当は別の場所にその村はあって、彼女の祖母はそこにいると信じたかった
けれど、それを証明する術を俺たちはもっていないのだ
残された望みはひとつ
俺たち自身の目で、真実を確かめるということだけ
その結果がさらなる悲しみを彼女にもたらすとしても避けることはできなかった


10話〜The Guardians〜
もう充分です、と
最後に。アメルはそう言った
これ以上、危険をおして村を探すことはないのだと
伝えられていたとおり森はまさしく禁忌の地だった
現れた悪魔たちとの戦いで俺たちはそれを痛感した
今まで夢物語と思っていた伝説が、揺るがぬ現実として俺たちの前に姿を現していく
それらのひとつひとつが無性に俺の心をかき乱す
自分でもわからないなにかがひしひしと胸にせまるのだ
それがなんなのか知りたいという気持ちと、知るべきではないという気持ちの間で
俺の心は揺れ続けていた


11話〜Kill or Die〜
気を失ったシャムロックさんを背負うフォルテに続くように
俺たちは陥落したローウェン砦から落ち延びていった
黒の旅団は追ってこなかった
それが混乱によるものなのか
それとも黒騎士の意思によるものなのか、それはわからない
ネスは言う
屍人を使うガレアノも
魔獣を操ったビーニャも
おそらく同じ仲間であろうと
確証はない
けれど、俺たちはみんな
それが本当であることを肌で感じていた
そして、もうひとつはっきりとわかるのは
デグレアがその戦意をもはや剥き出しにしたこと
戦争が始まろうとしていた


12話〜Lone Knight〜
そして、シャムロックさんはゆっくりと歩き出した
悲しみを思い出の中に閉じこめて、前へと進むために
人の心の弱さにつけこみ
身も心も鬼へと変えてしまう
鬼人使いキュラーの前にトライドラは屈した
けれど、滅びたのではない
その志は一人の騎士の中へと受け継がれ、絶ゆることなく生き続けていくのだから 
絶望の先にだって
必ず道は続いているのだから
そんな彼の姿に勇気づけられるようにして、俺たちもまた前へと進んでいく
向かう先は、港街ファナン
デグレアが次に狙うであろう物流の要となる都市だった


13話〜Evaporated Happiness〜
別れ別れになっていた友との再会と、ケルマとの和解
それは俺たちにとってはとるにたらない結末であっても
ミニスという小さな召喚師にとっては、大きな節目だった
報告にいった母親の下から帰ってきたミニスは、満面の笑顔で道場の門をくぐる
貴女がしたいと思うことを正しいと思う方法でおやりなさい
それが、ファミイさんが愛娘へと送った言葉だった。
ならば、ミニスの答えはもう決まっている
俺たちも、それを拒むつもりなんてなかった
やがて、祭りの夜が来る
活気あふれる街のその裏側で
戦いの準備が着々と進められていることを、俺たちだけが知っている
だからこそ、今この時を楽しんでやろうと思う
その思い出が、いつか本当に苦しくてつらい日々と向かいあわねばならないその時に
自分を支える力になるのだと知っているから・・・


14話〜Thank you〜
ただ守られているだけじゃなかったんだ
自分の意志とは裏腹に周りの都合にふり回されて
旅を続けてきたアメル
ふさぎこんで、泣いて
旅を続ける中で、たくさんの悲しみに耐えた彼女の心は強くなっていった
ロッカやリューグ
それにアグラ爺さんが思いもしなかったほどに
禁忌の森で拾われたことも
生まれが定かでないことも
あるがままに受け入れて
それでも彼女は
心から「ありがとう」と言うことができた
今日まで培われてきた
レルムの村での暮らしを
彼女を優しく見守り続けてきた祖父たちの存在を
あの言葉から、俺はたしかに感じとれた気がした
ちょっとだけ
彼女のことがうらやましいと思えるほどに・・・


15話〜Eternal Prisoner〜

なし


16話〜Determination〜
許されない罪があった
取り消せない過去があった
禁忌の森に隠されていた真実は、なにも知らずにいた俺の心を、激しくうちのめした・・・
調律者という名の罪のらく印・・・
その重みに、俺は戸惑い
苦しみ、もがき続けた
だけど・・・
みんなは、そんな俺に教えてくれた
許されない罪なら
取り消せない過去なら
全てを受け入れたうえで
乗り越えるしかないと
だから、俺はもう立ち止まったりはしない
この身を縛りつける過去という名の縛鎖を断ちきって・・・
仲間たちと共に
未来に向かって歩いていこうと思う


17話〜Dark Erosion〜

彼が残していった
楽しげなその笑い声は・・・
呆然と立ちつくす、俺の耳にいつまでもこだましていた
自分だけの歌を探したいと夢を語った吟遊詩人
出会うたびに、優しく声をかけてくれた人
そんな彼の笑顔は
全て偽りだったのだ・・・
認めたくなかった
でも認めるしかなかった・・・
・・・特務部隊・黒の旅団
   顧問召喚師レイム
さしのべられた手さえも
平然と振り払ってみせた時
友と信じていた、その人は俺たちの敵となった・・・


第18話〜His Trust〜
黒騎士ルヴァイド
俺たちは、幾度も彼と戦い
ぶつかりあってきた
だけど・・・
今になってわかった
俺はなにも、彼のことを知らなかった・・・
彼がまた、俺たちのことをなにも知らなかったように
永遠に交わるはずがないと信じていた平行線
それが一瞬だけ交差したあの瞬間に・・・
俺は初めて、黒騎士の中にルヴァイドという人間を見つけていた
俺たちとなにも変わらない
悲しいほど、ひたむきに己の存在価値を貫こうとする騎士の姿を・・・


第19話〜Dummy Force〜
シオンの大将の目くらましと
カザミネさんの機転によって
俺たちは、屍人たちの街と化した崖城都市から、無事に逃げ出すことができた
デグレアに巣食っていた闇
そのあまりの大きさに
俺たちは戦りつを感じていた
元老院議会を牛耳ることであの三人の召喚師は、なにを企んでいるのだろうか?
はっきりと言えるのは
彼らが、俺たちにとっての本当の敵だということ
そして、ルヴァイドたちは彼らの手で踊らされていただけの存在だったということ
彼らの忠誠は、けして報われないのだ・・・


第20話〜Blood Plunderer〜

ばらばらに散らばっていた事件が、悪意ある者の手でひとつの輪郭を描きはじめる
変わり果てた召喚師たちの亡骸と、それを為した者たちの真実の姿・・・
なにもかもを歪めてしまう狂ったような彼の笑い声
俺たちの見たものはけして幻なんかじゃなかった
悪魔によって操られているデグレアという国家
その悪魔たちを操って、彼はなにを為そうとしているのか
問いかけても答えは返らず
ただ俺は、夜風の中にそれを探している
得体の知れない焦りと不安を忘れようとするように・・・


第21話〜Devil’s Trap〜

悪魔は去っていった
やりきれない悲しみと不安だけを残して
虚言とかん計を司るという大悪魔メルギトス
それが、レイムさんの本当の姿だった
俺たちの先祖が戦い
天使アルミネの力で封印されたはずの存在
それがデグレアという国を食い荒らし、リィンバウムに再び危機をもたらそうとしている
本当の戦いはこれからなんだ
なのに・・・
俺は迷っている
メルギトスが告げた言葉
それがまるでトゲのように俺の心に刺さっている

消えないその痛みが
重く、鈍く、警鐘のように俺の中でこだましていた


第22話〜Hidden Legend〜
悪魔は言った
人間は、愚かな生き物だと
そのとおりかも知れない
俺たちはいつだって傷つけあってばかりいる
本当の気持ちを隠して偽りばかり口にしている
でも、俺は思う・・・
それは多分、裏返しなんだ
傷つけてしまうのは優しくしてほしいから
ウソを重ねてしまうのは真実だけを求めているから
わかっているのに
どうすることもできない人間の不器用さ
それを愚かと呼ぶのなら呼べばいい
だけど・・・
それでも、俺は・・・
人間であることを、心から幸せに思っているんだ
これが最後かもしれない
そんな思いを、胸に秘めて
俺たちは今、決戦の前夜を過ごそうとしていた・・・